「今日は茅ヶ崎のデニーズで本でも読まない?」とパートナー。
「いいねぇ。」
我が家から茅ヶ崎までは、電車に乗り、さらに茅ヶ崎駅からデニーズまでは歩いて20分。
全然、ご近所ではないけれど、わざわざ本を読むためだけにお出かけするのも悪くない。
はじめての茅ヶ崎サザンビーチ 江ノ島も烏帽子岩も見えた
はじめての茅ヶ崎。
引越しをしてからは、30分くらい電車に揺られれば茅ヶ崎に行けるのが嬉しい。
茅ヶ崎と言えば、サザンオールスターズ。
田舎の女子中学生にとって、サザンの「チャコの海岸物語」に描かれている”烏帽子岩の見える海の風景”は、もう、キラッキラに輝く憧れの場所だったりする。
さらに、映画「波の数だけ抱きしめて」の、真っ黒に日焼けした松下由樹さん中山美穂さん織田裕二さんらが出演する、湘南の海でのひと夏のラブストーリーも大好きで。
映画のDVDを見るたびに、うっとり。
「湘南って言っても、この映画は江ノ島から鎌倉までの話。茅ヶ崎とは違うから。」と、パートナー。
若い頃、パートナーは休みの日になると、茅ヶ崎のサザンビーチの近くでボードをやっていたんですって!!(初耳〜)
「え〜、いいなぁ。なんだか映画の世界みたいな青春じゃん!」
「茅ヶ崎は江ノ島の方と比べて田舎だよ。そこが好きなんだけどね。」と。
でも、海のない田舎に住んでいたわたしには、茅ヶ崎も江ノ島もみんな一緒くたの”湘南”。
キラッキラに眩しい、憧れなのだ。
そして、今日は太陽がキラッキラに眩しい。

海の写真を一枚撮ると、「あれ、烏帽子岩だよ。」と海を指すパートナー。
「え〜、どこ?」
「ほら、すぐ目の前。」

「え?目の前??」
目を細めてじーっと遠くを見ると…。
「あ、あれね!」

「歌詞の通り、本当に烏帽子岩が遠いね。」
「で、あっちが江ノ島。」

「あ、はいはい。左上にうっすらとね。」(さすがに大きいので見えた)
「ここで恋が芽生えるのね♪」
「それ、映画だけだから。」

海を眺めていると、やっぱりなんだか気分がいい。
空が広いし、波音を聞いていると落ち着く感じ。
「ここでボードをやって、暑くてたまらないからデニーズに入る。そんな感じだった。行ってみる?」
茅ヶ崎のデニーズは、何十年前、パートナーのお気に入りの場所だったみたい。

何十年前のパートナーのお気に入りの場所に行けるのは、なんだかちょっと嬉しい感じ。
茅ヶ崎のデニーズは、東京のファミレスやカフェとは全然違っていた。
まだゴールデンウィークなのに、半袖のシャツだったり、ビーチサンダルだったり…。
なんだか夏を感じる。
なんだか不思議。異次元の場所。

マンゴーパフェを食べながら、ゆっくりとくつろぐ。
「まるで南国みたい。全然違うんだね。日常離れしてる感じ。」
「でしょ?電車に乗ればすぐに来れるよ。」
「海があるって、なんだか開放的でいいね。」
「砂浜があるのがいいよね。」
「住んだら、どんな感じなのかなぁ。」
「住むと”いつもの風景”になってしまうから、どうなんだろ?なんてったって人間は、刺激がないとダメな生き物だから。」
「…家、どこに建てようかね。」
日が暮れて空に星が出るまで、デニーズでおしゃべりしたり、本を読んだり。
茅ヶ崎駅までの暗くなった道をのんびりと歩く。
「電車に乗って海に30分。森に30分も悪くない。」とパートナー。
海の香りのする夜の茅ヶ崎を歩くと、ほんの少し、映画の世界にトリップしたような気分。
「やっぱり、茅ヶ崎って異次元だね。」