バリ島のヒンドゥー教の王族の豪華で見事なお葬式

「生誕42日目のお祝いの儀式」の翌々日、今度は「お葬式」に参加しました。

しかも今回は王室の方の葬儀だそうで、「この葬儀は何年かバリ島に通っている人でも滅多にみられない豪華なもの」と、ゲストハウスのオーナー。

「しかも、直火焼きよ!」

…直火焼きって…、もしかして火葬ってことですか?

「そう。その火葬!火葬のお寺がウチの目の前だから、すごく近いでしょ?」と教えてもらい、興味津々。

王族の遺体を乗せた豪華なバデ(多重塔)と牛の形をした張りぼてのお棺(ヌプランガン)が、王宮から火葬を行うお寺まで移動し、その後、お寺で遺体を多重塔から牛のお棺に移し替え、焼くのだそうです。

そのパレードの最終地点である”遺体が焼かれるお寺”というのが、偶然にも、わたしたちが宿泊しているドレミゲストハウスの目の前、道を渡ったすぐの場所。

外に出てお寺を見てみると…、確かに竹でできた”階段のようなもの”が用意されていました。

…いやぁ。

今回は「何もスケジュールを決めていなかった滞在」だったはずなのに…、なんだか”バリ島の伝統的な儀式”に色々と参加させていただいて…なかなか忙しい(笑)

「あとね、葬儀の時は、電線が一時的に切られるから。ウチも電気使えないかも」

「え?!お葬式にたびに電線切られるんですか?!」と驚いて聞くと、「王族のバデ(多重塔)やお棺(ヌプランガン)は、とてもサイズが大きいから、電線に当たっちゃうんだよね」と。

…見てみたら、本当に電線が切られて、下に落ちていた…!

しかも、ものすご〜く雑な電線の処理…。

…感電とかしないのだろうか?

本当にバリって”超テキトー”でビックリする…。

「あ、もう電線切ってあるんだ…。もしウチの電線が切れていたら、電気もWi-fiも…、トイレも水を電気で汲み上げているから、トイレも流れない…」とオーナー。

ええええええええぇぇ〜っ!

「そうなったら、…そのうち復旧してくれるとは思うんだけど。…まぁ、いつかわからないから…」との衝撃の言葉に、急いで部屋に戻り、電気を確かめる。

…結果、ゲストハウスの電線は大丈夫でした。ふぅ。

「それにしても、元々テキトー臭く繋いである電線を切ったら、後から、キチンとつなぎ直せるものなのだろうか?」とパートナー。

「どうせ何度か切ることになるから、最初からテキトーに繋いであるんじゃないの?」と、わたしたちの話も超テキトーである。

一息つきたところで、「さぁ」と、改めて葬儀のパレードを見ようと外に出たら…、さっきまで、ガラガラだったお寺に人が溢れて…。

いつの間にか多重塔とお棺が到着していて…、パレードを見損なってしまった…(泣)

「パレード」って言うからゆっくりと練り歩くのかと思ったら、猛ダッシュで走って一気に運ばれるのだとか…。

わたしたちが見たときには、ちょうど多重塔からお棺が運び出されているところでした。

竹の階段が巨大滑り台のように、そびえ立っています。

多重塔は見上げるほど高くて。

確かに。これは電線を切らなければパレードできない大きさだ。

近くにいたバリの人が片言の日本語で話しかけてくれる。

「王様。金持ち」と、豪華絢爛な多重塔を指差しながら教えてくれた。

バリの葬儀はとてもお金がかかる。

日本のお葬式並みにお金がかかるそうです。

一般の平民(カースト制度で90%)が亡くなっても、お金がないので、すぐに葬儀ができる家は少ない。

とりあえず埋葬して、その後、村で合同の葬儀の時に一緒に火葬されるのが一般的。

経済状態によっては、何ヶ月、あるいは何年、何十年後にようやくお葬式する、という場合もあるのだとか。

だから、亡くなってすぐに葬儀の用意ができるのは、とても豊かなこと。(多重塔とか作るのにひと月ほどかかるらしいのだけれど)

そして、今回のように「何千万」というお金がかかっている豪華なバデ(多重塔)やお棺(ヌプランガン)というのは、(王族の方がなくならない限り)滅多に見られないのだそうです。

そして、バリのお葬式は、日本のように「しめっぽいもの」ではなく、お棺が火葬場まで移動するので、まるでお祭りの山車を待つかのように、賑やかで、活気にあふれ明るく、まさに「お祝い」という雰囲気。

…というのもバリの人たちは「輪廻転生」を信じているから。

先日ゲストハウスで行われた「生誕42日のお祝い」で、「生誕105日間目のお祝いで、ようやく赤ちゃんの身体に先祖の魂が再生して宿る」…と書いたが…。

このように、「死」はその人との永遠の別れではなく、死のあと、同じ家系の新しい身体に宿り、自分の子供や孫あるいは親戚の家か…はわからないけれど、生まれて必ずどこかでまた再会できるのだ。

だから、悲しみはない。

そして、この”新たな誕生の前の儀式”である葬儀は、人生のうちで一番お金をかけ、盛大に行うことが”バリ人の誇り”なのだ。

牛の張りぼては2頭。

一頭の牛の背中のお棺に遺体を移し替え、もう一頭に、旅立ちに際して持っていく…と思われるものを順番に運んで詰めていきます。

階段の上から対面を終えた遺族が次々と降りていき、棺に死出の旅に必要なすべてのものが詰められたら、竹の階段が取り外され…。

あっという間に火が放たれました。

物の入った牛の方はすぐに焼け落ちましたが、遺体の入ったお棺のほうはなかなか焼けないので、お棺の様子を見ながら、バーナーを手に持ち前後に操作する人が2人いました。

見ているわたし達でさえも、火のそばは熱く感じたのですが、このバーナーを持っている人は焼け付くほど熱いと思います…。

遺体の棺はゆっくりと焼け…。

やがて、張りぼての黒い骨組みだけになりました。

死者の魂は火葬で清められて、ようやく亡骸から離れることができるのだそう。

バリの人は「火葬ができなかったら…、魂はさまよい、生まれ変われなくなってしまう…」と信じているからこそ、何年かかろうともお金を貯めて、合同でも、小さくても、バデ(多重塔)やお棺(ヌプランガン)で葬儀をするのだ。

なかなか触れることができないバリの王室の方のお葬式」と言う異次元の体験ができて、貴重な日でした。

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