歩いた道をてくてくと歩いて戻る。
川平湾周辺は石垣島一番の観光地とあって、市街地から車で35分とかなり離れているにもかかわらず、お寿司屋さんや食堂、そばや、カフェなどが充実している。
住宅地の中をちょっと歩けば、なにかしら食事にありつける。
でも、お店の「定休日」とか「営業時間」は、オフシーズンは「かなりアテにならない!」と実感。
12時からオープン予定の「ハコカフェ」はやっているだろうか?
ハコカフェは移住したて女性オーナーのかわいいカフェ
戻ってみると、ハコカフェの営業を示す道路の看板は、相変わらずクローズだった。

時計は12時を回っている。
「今日は日曜だから、やっぱりお休みなのかなぁ。」
そう言いながら、お店のある場所まで見に行く。

ここにもクローズの看板が出ていて、お店の中も真っ暗。
どうやら営業している気配がない。
「とりあえず、開いてなくても行った記念に!」と写真を撮る。
のろのろとさっきの道路まで戻る。
「あ〜あ。スイーツが食べたい!甘いケーキが欲しい!」
さっき、美味しいパンを食べたはずなのに、やっぱり甘いものは「別腹」のようで、お腹がケーキを欲している。
もしかしたら、わたし。ケーキのないところには住めないかもしれない…(悲)。
何もない田舎の生活を夢見つつ、相当、物質世界に依存している自分が悲しい。
一体、田舎に住みたいのか?都会に住みたいのか?どっちなんだ?!と、自分でツッコミを入れたくなる。
…と、脳内葛藤を繰り広げているわたしの横を小さな若い女性が通った。
おもむろに「ハコカフェ」の看板の近くで何かしている。

も、もしや?!
あわてて看板に近づくと…。

きゃぁ〜!!OPENだ!
「ハコカフェ、オープンですか?!」
思わず女性に尋ねると、「はい」とのこと。
よかったぁ。これでケーキにありつける!!
すごく嬉しくなった。
オーナーらしき女性の後についてお店に入る。
店の前で靴を脱いで、裸足になるのが基本らしい。
床は肌触りのいい木の床。
この木のテーブルは、このお店は居抜きで入った時、前の経営者が置いていったものをそのまま使っているとのこと。
すごく落ち着ける感じ。
裸足で床を歩くカフェって、結構、新鮮!

小さなハイハイするお子様でも、安心して床の上をハイハイできて、そして「なんくるないさぁ」な感じで、それを見て、なんらこだわる人もいない。
訪れた誰もがくつろげる感じ。
「ピナコラーダでパンを買っていらしたんですか?今日、営業しているんですね。」とオーナー。
「え?日曜休みでしたっけ?」とわたし。
「いえ、定休日とは別に今度は土日お休みするって言っていたような…。」
「そうなんですか?!お休みだったら、わたし、すご〜く悲しい目に遭うところでした。…なんたって、4件ほど巡ったカフェは全てお休みで…。」
「まぁ、石垣島ですから。」とにこやかに微笑むオーナー。
そういう「ハコカフェ」さんも、12時を随分過ぎてからオープンでしたしね(笑)。
キッチンに吊るされた大小さまざまな大きさの泡立て器を見るにつけ、こちらでのメニューは手作りされているのが伺えました。
間違いない。ここのスイーツは手作りだ!(期待が高まる!)

小さなスペースだけど、荷物を置くカゴもキチンと整理されている。
かわいいくて温かみのあるお店だ。
キッチンのところに立っている後ろ姿が、このお店のオーナーのももさん。

まぁるいポンポンのついたベレー帽をかぶってらしたので、「帽子はすでに秋冬仕様なんですね。」と言うと、「いえいえ。これは年中、こんなのをかぶっているんです。」とのこと。
1年中こういうベレー帽をかぶっている人は、オシャレに関心のある人だ。
「ももさんは、こちらのかたなんですか?」とお聞きすると、「大阪です。」とのこと。
「お店は長いんですか?」
「いいえ。まだこの4月に始めたばかりで、石垣に住み始めて数ヶ月なんですよ。」と。
「アロママッサージをやっている友人がわたしより半年早く石垣島に来ていて、『カフェとマッサージとコラボしたお店を作ろう!」って誘ってくれて。
わたしも仕事を辞めて、こちらでお店になる物件を探したんです。
でも、友人は『やっぱりわたしは旅行でここへ来るのがいいから』と言って、帰っちゃって。
結局、なんとな〜く馴染んだわたしが、やっている感じなんです。」と。
それにしても、すご〜く良い立地の場所にお店になるスペースもうまくみつけ、「車で1分」という住まいもみつけ、これって、やっぱり運命としか言いようがないと思う。
スリランカのホテルで出会った日本女性のヨガの先生同様、特に「ここに住みたい」とか思ってなくても、「就労ビザなんていらない!」と言っていても、勝手に準備されてしまって、不思議とその土地に縁ができてしまう。
結果、そこに住むことになるというすごく不思議で自然な流れ。
…よくよく考えてみれば、わたしたちも別に今住んでいる神奈川県に「住みたい」と一度も思ったことはなかった。
ただ、パートナーにとって「今年、一緒に仕事をしたい人」がこの近くに居た、というだけ。
そう考えてみると、いま、住んでいるマンションも賃貸ではあるけれど、「場所に呼ばれた」と言えるのかもしれない。
まぁ、いたって普通の引越しだけど(笑)。
その人その人がそれぞれ、その時期その時期で変わるかもしれないけれど、「生きる場所」あるいは「居るべき場所」というのがある気がする。
今はあっちへ行ったりこっちへ行ったり、根無し草っぽい感じだけど。
いつかわたしにも「やっぱり落ち着きたい」と思った頃、自然にお任せで流れていけば、きっとそのように住まいがみつかるんじゃないかって思えました。(なんくるないさぁ)
さて、長々と脳内会議している間に、泡立て器でホイップクリームを作ってくださったようで。
ケーキの横にはやわらかめのホイップクリームが添えられていました。

ポップな感じのプレートに、紅芋チーズケーキとフォンダンショコラと紅茶です。
久々のケーキは、身にしみる〜。
「うまっ!!」
一口で至福に浸れるのが、ケーキ。
ああ、やっぱり、しばらくはケーキ無しでは生きられないわ。
ゆっくりとした南国らしい島時間が過ごせて、とても楽しいひとときでした。
■石垣島旅行記のつづき